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独坐大雄峰


独坐大雄峰


はじめに


 

仏法とは何か―――


冒頭から大上段にふりかざしましたが、
 


仏法は、
自己の存在の根源を自覚することにある―――― 

 

138億年の大宇宙の真っ只中で、 地球に抱かれて

 

「今」、「ここ」に生かされて生きて存在する

 

自分の生命の尊さ、有難さを自覚し、今日一日を心豊かに充実して生きるための

 

人間教育学であります。

 

 

下座行50年 最後の下座行 (平成26年3月東京池袋駅東口)


愚 歌

 

 わが命 いつ終るか わからねど 

 

 今日一日の いのち大事に

 





どくざだいゆうほう

独坐大雄峰


 

 

 

独り(ひとり) 大雄(だいゆう)(ほう)に 坐す(ざす)

 

 今から1200年前、中国の唐代に百丈(ひゃくじょう)()(かい)禅師という方がおられました。

 

この方は「百丈清規(しんぎ)」という 禅寺の規則を確立された有名な禅僧です 

 

 


百丈の奇特


 

 

百丈禅師に一人の弟子が尋ねました。 

 

如何(いか)()奇特(きどく)() 

 

この世の中で

 

一番有難い事、

 

価値のある事、

 

不思議な事は何ですか と質問したのです。 

 


 

 

「それは金だ。世の中で金さえあれば、何でも解決がつくから」、 

 

「いや地位だ」

 

「いや名誉だ」

 

「財産だ」

 

と答える人もあろうかと思いますが、 

 

百丈禅師の答えは、 

 

地位でもなく、 

 

財産でもなく、 

 

名誉でもなく、 

 

「独 坐 大 雄 峰」 

 (私が今、大雄峰にこうして坐っていること、これ以上の奇特なことはない)

 

と答えられました。 

 

 

独坐とは 自己が独り(ひとり)坐る。

 

大雄峰とは禅師がお住まいになっている山の名前です。 

 

これは、百丈禅師が大雄峰におられたから、こう言われたのであって、なにも大雄峰に限ったことではありません。 

 


 

 

「私が今、ここで生活していること、そのすべてが尊いのさ」 

 

といわれたのです。 

 

 

 

 世間でいうところの、金、地位、名誉、財産等のあらゆるものの価値の根底は、

 

自己が今、ここに生きて存在することによって初めてできてくるものです。 

 

 

 

 大雄峰と表現されていますが、  

 

 大雄峰 は 宇宙をさしています。

 

 

 

 138億年の大宇宙の真っ只中で、

 

 地球という座布団を尻の下に()()いて、

 

 

 「今」、「ここ」、という 

 

 この一点に、 

 

 こうして生きて存在していることほど、

 

 不可思議で 

 

 神秘で、

 

 尊く、

 

有難い

  

これ以上の奇特はない

 

――――ということに気づきなさいと百丈禅師は教えておられるです。

 

 

仏法とは、

 

この奇特、 

 

即ち、

 

自己の 存在の根源に 目覚め、 

 

今日、只今を 

 

精いっぱい生きるための人間教育学です。 

 


な る ほ ど


 

 私は

「成る程、如何にもそうである。 

 

 真理は天上にある訳ではなく、日々の生活の中にある。

 

 仏陀は 紫の幕の中の須弥壇に上にばかりあるのではない。 

 

 有難いことといえば、 

 

 百丈自身が大雄峰に独坐しているから 有難いのである。 

 

 百丈は 古今独坐の百丈で、

 

 何億年の昔から、

 

 何億年の未来のすえまで 

 

 百丈の個性を持っているものは 百丈だけである。

 

 

 これ以外に有難いものはない。

 

 

 人々は個々に性を持って、

 

 個々別々に大雄峰に独坐しているから、 

 

 誰も彼も有難い。

 

 

「有難くない者は一人もいない

 

と―――― 

 

 

人生75年、煩悩地獄、妄想苦海で 七転八倒し、七転び八起きしながら頭で理解会得し、 

この頃、なんとか体得できたかと思っても、

 

気が抜けると 凡夫にかえってしまう凡僧でございます。 

 


愚 歌

あすあると 明日の命を あてにして

 

    あすへとのばす なまくら心



平成28年9月3日 

        自然宗佛國寺   開山 愚谷軒 黙雷
              


自然宗佛國寺・開山 黙雷和尚が、
行脚(徒歩)55年、下座行(路上坐禅)50年から、長期連載でお伝えいたします。


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